vol.5 「高野長英」と「夢物語」について


人と会うために表参道へ。ちょっと早く着いたので久しぶりにウロウロしてみると、あらこんなところに綺麗な神社が。なになに「秋葉神社」とな。こんなの昔あったかしらん。ググってみると、割と最近に建て替えられたとのこと。そのすぐ隣のビルにはロエベの店が入っており、やけに近代的な絵面。時代だな〜。


参拝してから裏へ回ると、あらこんなところに大きなお寺まで。こちらは「善光寺」とな。なんでも、信濃善光寺の別院だとか。若い頃に表参道はよく遊びに来ていたが、こんな所にこんな大きなお寺があったとは知らなんだ。洋服屋より寺社仏閣に興味が湧くようになったとは、わしも老けたもんじゃな〜とか思って、ちょい悲しくなったり。


その境内の一角で「高野長英碑」なるものを発見。高野長英って何か聞いたことあるような。いやそれは鴨長明だったかもしれない。とにかく高野長英でググる。読み込む。なにこのハードボイルドな人w。脱獄犯で指名手配の逃亡者じゃないですか。読めば読むほど熱いおじさんであると知る。しかも江戸に潜伏するため顔を焼いて人相まで変えてるし。なんて強者。詳しくは↓こちら。


ちょうど「超現代語訳 幕末物語」を読んでいる最中だったので、黒船来航以来、加熱する攘夷運動(思想?)と開国派とが衝突してゆく流れの前段階で、こんなおじさんがひとり奮闘してたことを知り、感慨深いものがあった。感心ついでにググり先で「夢物語」の現代語訳版を見つけたから興味本位で読んでみることに。長くないし。

読んだ。ら、すごい面白かった。ただの問答形式の会話文なのだけど、中身が明晰すぎて引き込まれる。当時の国際情勢や、各国の立場や思惑が、びっくりするぐらい良く分かった。この意見通りにすればいーじゃん、てかこれ一択しかなくね?と納得するしかない内容。

でも確かに、これはフィクションです、では通らないわー。物語でもなんでもない、明らかな意見書だもの。そりゃ咎められるわ。幕府に聞く耳ある人がいるタイミングだったら良かったのにね。可哀想に生まれた時代が早過ぎたのか、はたまた考え方が早過ぎたのか。ともあれ、この内容は学校で触れるべき(これを読めば当時の状況がまる分かりになる)傑作だと思いました。

一般社団法人 江戸町人文化芸術研究所

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