vol.10『徳川秀忠と妻お江』を読んで


以前、家康の次男「結城秀康(ゆうき ひでやす)」君の、存在を華麗にスルーされたような、されなかったような、何とも言えない微妙な人生に触れてしまったついでに、三男「秀忠(ひでただ)」君と、その嫁「お江(ごう)」ちゃんについての本を見つけて読んでみた。


結果、すんばらしく良本だった。家康&秀吉というスター選手の影に隠れてしまい、若き時代に何をしていたのか細かく知られていない2人の生き様が、主軸。けど、逆にその目線から見えてくる秀吉の恐ろしさと焦り、家康の狡猾さ、などがめちゃくちゃ面白い。


しかも、小説のように登場人物の心情をきちんと描きながらも、それをじっくりはやらずに、テンポ良く史実イベントが次々展開するので、実に読みやすかった。読みながら「これ大河ドラマにして欲しいな〜」て思てたら、既にもうやってたらしい。チッ見逃しとるやないかい。


てことで、長年渋っていたNHKオンデマンドについに加入を決意。これで過去の大河ドラマ全部制覇するという、また地味にコツコツ系の課題が増えた。数年後には「おれそれ見てないんだよねー」という台詞から卒業してやろう。うむうむ、我ながら良い傾向である。



さて本題に戻りまして、今回お勉強になったポイントは↓こちら。



織田信長の妹である「お市の方」は、政略結婚で「浅井長政(あざい ながまさ)」に嫁ぎ、三姉妹「茶々・お初・お江」を産んで幸せに暮してた。けど夫の浅井長政が、信長を裏切り敵に回って殺され、4人は秀吉に回収される。ちなみに長政が側室に産ませた長男は、串刺しの刑。こわ。


約10年後、信長が本能寺で討たれちゃったので、お市の方は、また政略結婚で「柴田勝家(しばた かついえ)」に嫁ぐ。が、すぐに秀吉との権力争いで戦になり、惨敗して城を囲まれ、お市の方は勝家と共に自害。三姉妹は再び秀吉に回収される。


その後、三姉妹に政略結婚の話が来たが、秀吉は茶々を手放したくなかったため、まだ12歳の三女お江を嫁に出す。のも束の間、大人の事情で政略結婚は解消となり、すぐ連れ戻されるお江。その間、茶々は秀吉の側室「淀殿」になって(親の仇なのに)鶴丸くんを産むが、すぐ死亡。お江はまた別の家に嫁がされ、長女を産むけど夫は朝鮮出兵ですぐ死んじゃう。すぐが多い。


一方、徳川家康の三男である秀忠は、武芸は弱いがすご真面目クンに育ってて、乳母さんに死ぬ間際「私の子が流罪になってますけど私に気を遣って許すような甘いことしないよーに」とか言われたり(※伏線)。江戸の治安が悪い言う話を聞いて、元北条家武士ら小田原浪人に警護をやらせて食い扶持を与えたり。そんな少年期を過ごしておったそうな。


その頃、秀吉と淀殿に次男「秀頼(ひでより)」が産まれ、秀吉は養子の後継ぎ「秀次(ひでつぐ)」ファミリーを女子供まで惨殺。こわ。またまた政略結婚で、お江を徳川秀忠に嫁がせる。この時、お江は23歳、秀忠は17歳。でも秀忠が浮気しない真面目クンなので、仲良し夫婦になり、女女女女男男女と子だくさんに。(長男が竹千代=後の家光、次男が国松=忠長)


それから秀吉が死んで、家康が三成あおる → 三成キレる → 家康わざと上杉あおる → 三成わざと直江にあおらせ直江状返しで挟み撃ち作戦 → 家康キレたふりして北上しつつ三成の挙兵待つ → 三成まんまと挙兵して家康の思う壺 → 家康すぐ「小山評定」して引き返す → 秀忠は真田に寄り道して大遅刻 → 関ヶ原で家康勝つ → 秀忠あやまる → けど家康カンカン。遅刻もさることながら、だからって焦って兵を置いて大将が先に駆け付けるってアホかと。軍を乱してどーすんだと。


あとは家康やりたい放題で、秀頼にマウントとる。んで秀忠とお江の長女「千姫」を秀頼の嫁にして、秀忠を二代目にして大御所に。かたくなに秀忠が側室とらないもんだから、家康わざと夜に美女を送り込むも、秀忠動じない。さすが真面目クン。と思いきや、一回だけ「お静」と言う女中にお手つきして妊娠させちゃう秀忠。慌てて隠す。その子が後の保科正之(ほしなまさゆき)」となり、3代目家光に救い上げられることに。


お江は、国松ばっかり贔屓してお福(後の春日局)とバチバチになるも、お福が家康に直訴して家光が後継当確。そんなんしてる頃、家康は豊臣をどう滅ぼすか思案中。鐘の文字にケチつけて豊臣方の「片桐且元(かたぎりかつもと)」に厳しい条件を突きつける家康。なのに別の人には「別に怒ってないよ」的なこと言う。当然2人の伝言は食い違い「且元てめー家康に抱き込まれたな」となり、且元を罷免。家康はそれを反逆と見なし(さすが狸)大阪冬の陣へ。


秀忠、今度は急ぎすぎて「馬や兵が疲れて役に立たんやろが!」と家康に怒られつつも、大阪城包囲。けど真田丸が強くて苦戦。大砲の心理攻撃が効いて泣き入る淀殿。浅井三姉妹次女のお初、が交渉役となり、淀殿→お初→阿茶の「女房講和」で和睦。


けど堀を埋められ大阪城まる裸にされちゃい、夏の陣へ。大群の前に真田も散り、秀忠の長女で秀頼の嫁の「千姫」が助命を乞い、家康じいちゃん一瞬グラつく。けど秀忠とおちゃんが厳しめに拒否って、淀殿と秀頼は自害させられ豊臣滅亡


安心したのか、家康は鯛の天ぷら食べすぎて腹痛くなり死ぬ。秀忠は一国一城令や、厳しめ改易しまくりで大名らビビる。乳母の遺言が影響したのか、情に流されず徳川家臣でもビシビシ取り締まる秀忠(※来ました ↑ の伏線回収!江戸幕府を磐石なものとしてゆくのであった



と、まあこんな感じである。秀忠のエピソードはホント関ヶ原遅刻しかイメージなかったし、ましてやお江については全く圏外だったので、どれもこれも新鮮な知識ばかり。三姉妹の人生を追うと、織田〜豊臣〜徳川の時代変遷がよく見えてくるという映画のような面白さ。いや〜ためになるね〜、ためになったね〜。



おまけ↓

ある日、御殿で竹千代(家光)に命じられた「長四郎」て子が、雀の巣を取ろうとしてコケる。秀忠が「竹千代の命令だろ」と問い詰めるけど、長四郎は認めず、罰として袋詰めにされ一晩放置される(やりすぎ)。翌朝に袋から出してまた問い詰めても、竹千代の関与を認めず。秀忠「あいつすごい忠誠心。良い腹心になるわ」と。この長四郎が、後の「知恵伊豆」こと「松平伊豆守信綱」となる。。って、あの「江戸一新」の「知恵伊豆」かっ!! なんか繋がった!

一般社団法人 江戸町人文化芸術研究所

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